阿久悠 ( あくゆう )
阿久悠の基本情報
- 生年月日: 1937年2月7日
- 命日: 2007年8月1日 (享年 70歳)
- 本名: 深田公之(ふかだひろゆき)
-
1965年5月10日、「モンキーダンス(田辺昭知とザ・スパイダース)」で 28歳のときにデビュー。現在、デビューしてから 59 年たちました。
補足 : ザ・モップス「朝まで待てない」がはじめてのヒット。
レコード・CD売上枚数
シングル売上ランキング
発売年 | 曲名 | 売上 (万枚) |
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1 | 1977 | UFO/ピンク・レディー | 155.4 |
2 | 1978 | サウスポー/ピンク・レディー | 146.0 |
3 | 1975 | 北の宿から/都はるみ | 143.5 |
4 | 1977 | ウォンテッド/ピンク・レディー | 120.1 |
5 | 1978 | モンスター/ピンク・レディー | 110.2 |
6 | 1976 | 青春時代/森田公一とトップギャラン | 101.8 |
7 | 1977 | 渚のシンドバッド/ピンク・レディー | 100.0 |
8 | 1971 | また逢う日まで/尾崎紀世彦 | 95.6 |
9 | 1975 | 時の過ぎゆくままに/沢田研二 | 91.6 |
10 | 1977 | 勝手にしやがれ/沢田研二 | 89.3 |
ピンク・レディーの強さよ!阿久悠さんが作詞した曲は5,000曲以上といわれていますが、その中のトップテンで5曲を占めるピンク・レディー。当時の勢いが感じられます。
※累計売上のランキングです。出典:株式会社オリコン(1997)『1968-1997 ORICON CHART BOOK』
阿久悠の代表作品
森山加代子
- 白い蝶のサンバ
阿久悠の最初のオリコン1位獲得曲
北原ミレイ
- ざんげの値打ちもない
- また逢う日まで
第13回(1971)日本レコード大賞受賞曲
- 笑って許して
- 天使になれない
- あの鐘を鳴らすのはあなた
ペドロ&カプリシャス
- ジョニィへの伝言
ボーカルの高橋まり(現:高橋真梨子)はこれがデビュー曲 - 五番街のマリーへ
- どうにもとまらない
- 狙いうち
堺正章
- 街の灯り
- せんせい
- 同級生
- 中学3年生
- 天使も夢みる
桜田淳子のデビューシングル - 天使の初恋
- わたしの青い鳥
- 花物語
- はじめての出来事
- 十七の夏
- 天使のくちびる
- ゆれてる私
- 夏にご用心
- ねえ!気がついてよ
- 気まぐれヴィーナス
- サンタモニカの風
あべ静江
- コーヒーショップで
あべ静江のデビューシングル - みずいろの手紙
フィンガー5
- 個人授業
- 恋のダイヤル6700
- 学園天国
伊藤咲子
- ひまわり娘
伊藤咲子のデビューシングル - 木枯しの二人
石川さゆり
- 津軽海峡・冬景色
- 能登半島
石川さゆりが石川出身だと勘違いして阿久悠が書いた曲。のちに気づいたらしく、本当の出身である熊本をテーマにした曲「火の国へ」を提供している
森田公一とトップギャラン
- 青春時代
都はるみ
- 北の宿から
第18回(1976)日本レコード大賞受賞曲
- ロマンス
- センチメンタル
- 未来
- 熱帯魚
- 思秋期
- シンデレラ・ハネムーン
- 時の過ぎゆくままに
- 立ちどまるなふりむくな
- さよならをいう気もない
- 勝手にしやがれ
第19回(1977)日本レコード大賞受賞曲 - 憎みきれないろくでなし
- サムライ/あなたに今夜はワインをふりかけ
- ダーリング
- ヤマトより愛をこめて
- LOVE (抱きしめたい)
- カサブランカ・ダンディ
- OH! ギャル
- 酒場でDABADA
- 君よ抱かれて熱くなれ
- ジャガー
- 若き獅子たち
- ラストシーン
- ブーメランストリート
- セクシーロックンローラー
- ボタンを外せ
- ブーツをぬいで朝食を
- 炎
- ブルースカイブルー
フォーリーブス
- 踊り子
新沼謙治
- 嫁に来ないか
- ヘッドライト
- ペッパー警部
ピンク・レディーのデビュー曲 - S・O・S
- カルメン’77
- 渚のシンドバッド
- ウォンテッド (指名手配)
- UFO
第20回(1978)日本レコード大賞受賞曲。イースター島に行ってUFOを見た体験から作られた - サウスポー
- モンスター
- 透明人間
- カメレオン・アーミー
- 林檎殺人事件
樹木希林とのデュエット - 素敵にシンデレラ・コンプレックス
石野真子
- 狼なんか怖くない
石野真子のデビューシングル。作曲は吉田拓郎
Char
- 気絶するほど悩ましい
大橋純子
- たそがれマイ・ラブ
八代亜紀
- 舟唄
- 雨の慕情
第22回(1980)日本レコード大賞
- 真夏の夜の夢
杉田かおる
- 鳥の詩
西田敏行
- もしもピアノが弾けたなら
ザ・タイガース
- 色つきの女でいてくれよ
小出広美
- タブー
岡本舞子
- ファンレター
森進一
- 北の螢
五木ひろし
- 契り
- 追憶
五木ひろし&木の実ナナ
- 居酒屋
小林旭
- 熱き心に
河島英五
- 時代おくれ
アニメソング・子供向けソング
- 宇宙戦艦ヤマト(ささきいさお)
- ピンポンパン体操
小説作品
- 瀬戸内少年野球団
直木賞候補にもあげられ、映画化もされた。
阿久悠伝説とエピソード
阿久悠の学生時代
- 中学二年生のとき結核にかかり運動が全くできなくなったことで、将来は小説家などの体を動かさなくても良い職業につこうと決意。
- 退院後も安静が必要だったため、授業を抜け出して映画館へ足繁く通った。見た映画は1,000本にも達したという。
- 明治大学在学中も映画、音楽に没頭し、仕送りをつぎ込んだ。
阿久悠と上村一夫
- 1959年に広告代理店であった宣弘社に入社。そこで、のちにイラストレーターや漫画家として名を馳せる上村一夫と出会い、親友になった。
- 上村一夫の代表作は「同棲時代」。かぐや姫の「神田川」がヒットしたことも重なって、同棲ブームを巻き起こした。阿久悠がストーリーを、上村がイラストを書いた作品なども残しており、沢田研二が主演を務めた「悪魔のようなあいつ」が有名。
- 阿久悠の出世作でもある北原ミレイの「ざんげの値打ちもない」のジャケット写真も、上村のイラストである。(数バージョンあり)
参考:上村一夫公式サイト
ざんげの値打ちもない(画:上村一夫) [EPレコード 7inch]
著名人からの評価
木﨑賢治(沢田研二の元プロデューサー)
沢田研二、阿久悠さん、大野克夫さん、船山基紀さんと仕事して思ったのは、やはりみんなが「カッコ悪い」と思うことを「カッコいい」と思わせられることのできる人が、スーパースターだということですね。ハイウエストのジーンズを今の時代にデザインしてみせるとか。それができる人は相当すごいですよ。阿久悠さんはまさに、アラン・ドロンみたいな2枚目にああいうカッコ悪い詞をぶつけてくることができた。加えて大野さんが作った繊細な曲に、船山さんがダイナミックさをぶつけて、情けない歌詞を本人が男らしく歌う。この矛盾するいろいろな要素が同居するのがいいと思いましたね。そうですね、両面性のないものはダメなんです。その頃雑誌で一般読者から沢田研二の詞を募集してみましたが、みんながセクシーで、ベッドやキッスが出てきたり、沢田研二のキャラクターに合わせて作ってくるんです。阿久悠さんがぶつけてきたものは真反対のものだった。そこから僕も学びました。多くの人に感動を与えられる人は詞の中にすでにそういう要素がありますね。
「ヒット曲の料理人 編曲家 船山基紀の時代」リットーミュージック(2019)p.053
都倉俊一さん(作曲家)
──沢田研二さんと並行して、ピンク・レディーの一連のヒットがあるわけですが、ピンクレディの楽曲も、1曲ごとにドラマがありましたね。
都倉:「UFO」や「透明人間」なんかは言ってみればSFですしね。ピンク・レディーに限らず、SF、サスペンス、コミカルなものからグロテスクなものまで、あらゆるジャンルのフィクションを書ける作詞家と言ったら、これはもう阿久さん以外にはいないでしょうね。恋愛ものでも、青春小説っぽいものもあれば、大人のエロティックな世界まで、ほんとに幅広かったですからね。そして、阿久さんの作品というのは、詞の中に自分が全く介在しない。完璧なフィクション。プロの作詞家というのは、フィクションでストーリーを作るわけだけれども、自分の体験を基に物語を書く人も多いんですよ。でも、阿久さんだけは、完璧なフィクションでしたね。──阿久先生は、どんな風に発想されていたと思われますか?
都倉俊一 │ うたまっぷインタビュー 2008~2009年頃のインタビュー(2020年11月24日時点)
都倉:一言で言うと“目のつけどころ”ということでしょうね。ものすごい情報量。世の中の動きを常に捉えている。阿久さんは大のテレビ好きでね。読書量も大変なものだったけれども、なんてったってテレビ好き。朝から晩までずーっとテレビを観てる。それで、入ってくる情報が常に頭の中で整理整頓されてるんだよね。そして、その時々に応じて、膨大なデータの中から、彼が独特に感じたその時代の瞬間風速みたいなものを切り出してくる。ピンク・レディーで言えば「サウスポー」ね。あれは、ワンちゃん(王貞治)の756号(ホームラン世界記録)がもうすぐ出せそうだ、いつだろう、いつだろうって日本中が固唾を呑んで見守っている時に、そうかコレだ!とアイデアが出てくる。野球がテーマなんじゃなくて、王貞治がテーマ。詞のどこにもに王貞治という名前は出てこないし、世界記録の事も出てこない。しかも、その王貞治と女の子が対決するという、空想小説みたいな手法。あれは、あのタイミングでなければ使わなかったと思いますね。そういう時代の読みみたいなものを自分のデータの中からポーンと投げつけてくるんですね。膨大なるデータとその中から何を選ぶかという取捨選択眼。その両方を持っていた人ですよ。
ゆかりの地
明治大学 阿久悠記念館(東京都)
明治大学出身の阿久悠の展示物や音楽の視聴ができる記念館。2011年10月28日にオープン。
阿久悠記念館 | 明治大学
阿久悠 顕彰モニュメント「愛と希望の鐘」(兵庫県)
「あの鐘を鳴らすのはあなた」をモチーフにして製作されたモニュメント。兵庫県洲本市の高田屋嘉兵衛公園にある。
阿久悠が学生時代に足繁く通った映画館 洲本オリオン(淡路島)
阿久悠の出身地である淡路島の映画館「洲本オリオン」。現在はイベントホールとして使われている。
休館状態だった洲本オリオン、営業再開へ 映画上映会や音楽イベント開催の場に | CineBoze 関西の映画シーンを伝えるサイト|キネ坊主
洲本オリオン オフィシャル – sumoto-orion
阿久悠 いきつけの料理屋
花むら(東京・赤坂)
…天ぷら屋。上村一夫氏とも訪れていたことが阿久の日記に記されている。
老舗「赤坂 花むら」|東京赤坂で創業大正10年老舗のお座敷天ぷらの店
味満ん(東京・六本木)
…こちらも馴染みにしていたお店で、やはり上村氏とも訪れている。
味満ん (あじまん) – 六本木/ふぐ [食べログ]
おすすめの商品
▼阿久悠が作詞した全作品のレコードジャケット、オリコン最高位データ、受賞歴、発売日、レーベルなどが載っているデータ派にはたまらない一冊。(2017年)
▼阿久悠の息子である深田太郎氏が書いた、天才の素顔。(2019年)
受賞歴
●1971年
第13回日本レコード大賞「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)
●1973年
第15回日本レコード大賞 作詩賞「ジョニィへの伝言」(ペドロ&カプリシャス)「じんじんさせて」(山本リンダ)
●1974年
第7回日本作詩大賞「さらば友よ」(森進一)
●1975年
第17回日本レコード大賞 作詩賞「乳母車」(菅原洋一)
●1976年
第18回日本レコード大賞「北の宿から」(都はるみ)
第9回日本作詩大賞受賞「北の宿から」(都はるみ)
第18回日本レコード大賞 中山晋平・西条八十賞(小林亜星とともに受賞)
●1977年
第19回日本レコード大賞「勝手にしやがれ」(沢田研二)
第10回日本作詩大賞「勝手にしやがれ」(沢田研二)
第10回日本作詩大賞大衆賞「ウォンテッド」(ピンク・レディー)
●1978年
第20回日本レコード大賞「UFO」(ピンク・レディー)
第9回日本歌謡大賞「サウスポー」(ピンク・レディー)
●1979年
第82回直木賞候補「瀬戸内少年野球団」
●1980年
第22回日本レコード大賞「雨の慕情」(八代亜紀)
第11回日本歌謡大賞「雨の慕情」(八代亜紀)
●1981年
第14回日本作詩大賞「もしもピアノが弾けたなら」(西田敏行)
●1982年
第15回日本作詩大賞「契り」(五木ひろし)
●1984年
第17回日本作詩大賞「北の螢」(森進一)
●1985年
第27回日本レコード大賞 作詩賞「夏ざかりほの字組」(Toshi & Naoko)
●1986年
第28日本レコード大賞 作詩賞「熱き心に」(小林旭)
●1987年
第8回古賀政男記念音楽大賞「追憶」(五木ひろし)
●1988年
第21回日本作詩大賞「港の五番町」(五木ひろし)
●1990年
第32回日本レコード大賞 作詩賞「花束」(八代亜紀)
●1994年
第36回日本レコード大賞 作詩賞「花のように 鳥のように」(桂銀淑)
●1996年
第38回日本レコード大賞 作詩賞「蛍の提灯」(坂本冬美)
●2007年
第49回日本レコード大賞 特別賞
●2017年
第59回日本レコード大賞 特別賞「ペッパー警部〜ウォンテッド(指名手配)〜UFO」(ピンク・レディー)
●2018年
JASRAC賞銅賞受賞「UFO」(ピンク・レディー)
関連サイト
- 公式サイト: http://www.aqqq.co.jp/
- ウィキペディア : https://ja.wikipedia.org/wiki/阿久悠
参考資料
<BSフジサンデースペシャル>『人間発掘スペシャル 阿久悠 その創作の原点 ~ある劇画家との運命の物語~』2019年7月7日放送