平成生まれ昭和育ちへのインタビュー【NO BORDERなディグラー・ooqueさん篇】

昭和の音楽が好きな若者は、年を追うごとに増えています。SNS上には中学生や高校生がいることも、珍しくありません。でも、いったい彼らはどうして昭和の音楽を好きになったのか?そのきっかけや思いをインタビューしていく、昭和ポップス倶楽部によるシリーズ「平成生まれ昭和育ちへのインタビュー」

平成生まれ昭和育ちへのインタビュー、第8回目である今回インタビューさせていただくのは、昭和ポップス倶楽部のメンバーであり、コミュニティ随一のディグ(音楽を発掘すること)スキルを持つ、ooque(おおき)さん。彼の「どこでその曲知ったの!?」とあっと言わせる鮮やかなディグりスキルについてたくさんお話を聞きました!

→過去の平成生まれ昭和育ちへのインタビュー

昭和ポップスとの出会い

この度は、インタビューをお受けいただきありがとうございます!早速ですがooqueさんは現在おいくつでしょうか?

平成4年生まれで、今は29歳です!

では、平成生まれのooqueさんがいつ昭和ポップスを好きになったのか、具体的なきっかけを教えてください。

僕が10歳の時、タイムスリップグリコ(※1)というお菓子があったのですが、そのおまけで、昭和の楽曲の8センチCDがついていたんです。
それで初めて手に取ったのが、YMOの「ライディーン」でした。
聴いてみて、めちゃくちゃかっこいいなと思いました。そこから図書館で YMOのCDを借りて、ハマっていきました。

※1 タイムスリップグリコ……1960年代後半~1980年代前半のヒット曲のCDが入ったお菓子。ジャケット、歌詞カード、紙袋、そしてCDの盤面に至るまで、それぞれ、当時のドーナツ盤を完璧に再現した外見になっている。

タイムスリップグリコの「ライディーン」(実物!)

10歳のooqueさんは、「ライディーン」を聴いて、どんな印象を持ったんでしょうか?

楽曲の前に、最初は見た目からでした。当時の僕は青色が好きだったので、青を基調としたこのジャケットと、描かれているロボットに少年心を捕まれ、「めちゃめちゃかっこいい!」と思いましたね。
当時、2000年代のJ-POP にはないかっこよさとか、そもそも歌詞がない曲、というのが新鮮でした。その頃、僕はポルノグラフィティの音楽にハマっていたのでなおさら驚きました。

確かに当時のJ-POP を考えると、歌詞がないというところは衝撃的かもしれません。
「ライディーン」が昭和の音楽という認識は最初からあったんでしょうか?

いや、全くなかったです。
親から「俺も昔好きだったんだよ〜」と教えてもらって、初めて知りました。

YMOから始まり、図書館に通うようになったooqueさんは次にどんなアーティストにハマっていきましたか?

僕は完全に「ニューウェーブ」にハマって、ヒカシューや P-MODELにハマりました。これも両親の影響ですね。
両親はかぐや姫・吉田拓郎辺りが世代で、その辺も親から聞かされてはいたんですけど、僕はテクノに走りました。

吉田拓郎もYMOも平成のJ-POPにはない新鮮さがあったかと思いますが、当時どうして昭和ポップスに魅了されたんだと思いますか?

当時、J-POPも普通に聴いていたんですが、平成にはない独特の世界観が広がっているんですよね。ヒカシューとかは特に。自分の予想の右斜め上をいく世界を見せてくれるところに、すごくワクワクしていました。

ooqueさんの感じる昭和ポップスにしかない世界観とはサウンドと歌詞、どちらの要素が強いんでしょうか?

これはほぼサウンドですね。僕が好きになる音楽に共通するのはシンセサイザーが多用されています。シンセサイザーの音がすごく好きです。

昭和ポップス倶楽部に参加したきっかけ

ooqueさんは昭和ポップス倶楽部発足当初に参加してくれたひとりでもありますよね。このコミュニティに参加するきっかけは何でしたか?

かなえ氏さんが以前、Twitterでバズっていたことがきっかけでした(笑)

昭和ポップス倶楽部のこともこのツイートで知りました。昭和に限らず色んな音楽ジャンルを広く浅く聴いていたのですが、ひとつぐらいは詳しくなりたいなと思っていたんですね。昭和ポップスについてはYMOやヒカシューだけでなく、中学生の時放送されていたドラマ『ウォーターボーイズ』で流れていた山本リンダさんやフィンガー5など、要所要所で好きな曲があったので、もっと詳しくなりたいと思って、参加しました。

参加してみて率直にどう思いましたか?

やめようと思いました(笑)

!!(笑)

どんな雰囲気を想像してましたか?

予想ではアーティストや曲のエピソードなどを語り合ったり、情報交換したりするジャズバーのようなイメージだったんです。
でも実際は、思ったよりもディープで濃い話をしているだけでなく、まさか楽曲の作詞・作曲家まで調べているとは全く予想していなかったです。そこから語ってる人たちヤバいなと思って、やめようと思いました(笑)

たしかに、言われてみればそうかもしれませんね……。

でもだからこそ、自分の音楽の楽しみ方が広がりました。作曲家とか編曲家とかについて交流会でプレゼンをしてくれる人もいますが、それまで僕は作詞家・作曲家・編曲家の存在すら知らなかったわけですから。

最初やめようと思った時に、踏みとどまったのはきっかけはあったのですか?

やはり、響く曲と出会ったからですね。メンバーから太田裕美さんの『満月の夜君んちへ行ったよ』、その後にPIZZICATO FIVEの『オードリィ・ヘプバーン・コンプレックス』という曲を教えてもらって、ハマりました。
みなさんが勧めてくれた曲は全部メモして聴くようにしているのですが、そうすると自分の好きな曲に出会えたりして。それに、おすすめ曲ありませんか?と聞いたらみんな教えてくれるので、それが嬉しかったです。

勉強家ですね。それに、ooqueさんはコミュニティをとても賢く活用されている印象があります。「今こんな気分なんだけど良い曲ありませんか?」「この曲が好きなんだけど、似た曲知りませんか?」とooqueさんの投げかけからコミュニケーションが生まれることも多くて、すごく良い循環が生まれている気がします。

普段の音楽の聴き方

今も昭和ポップスに限らず色んなジャンルを掘り進めているというooqueさんですが、普段どんなツールで音楽を聴いているのですか?

YouTubeとSpotifyを使って聴いています。

レコードも集めてるんでしたよね!

そうですね。今は30枚ぐらいになった気がします。

最近、手に入れたものでお気に入りのシングルはありますか?

歌謡曲バー「逆光」で以前、かなえ氏さんが主催したイベントがあったと思うんですけど、開始の挨拶の時に、一瞬だけ流れていたバラクーダーの「血液ガッタガタ」に火がついて、速攻で買いました(笑)

→ 逆行でのイベントのレポ【昭和ポップス倶楽部・歌謡曲バー「逆行」にて交流イベントを開催!】

まさかそんなところが刺さっていたとは(笑)レコード、サブスクと聴き方も多様ですが、普段はどんな時に音楽を聞きますか?

四六時中です!静かな空間が苦手なので、寝る時以外はほぼほぼ聞いてます。

ooqueさんの情報収集術

そうなんですね!ここ最近だと好きな歌手とか楽曲はありますか?

森まどかさんの「ねえ・ねえ・ねえ」という曲が好きです。

「毎週ベストソング選抜」(※2)でも紹介してくださっていましたね!普段の情報収集はどうやってされていますか?

※2 毎週ベストソング選抜……昭和ポップス倶楽部のメンバーそれぞれが一週間に1曲、隠れた名曲を出し合う企画。その中で「いいな」と思った曲に票を投じて、その週のベストソングを決めている。

Spotifyで色んなプレイリストを聴いてみたり、昭和ポップス倶楽部のコラムを読んだり、シティポップ系の掲示板をチェックしたりしています。

ooqueさんの音楽の楽しみ方の根源はまさに「探究心」にあると思うんです。音楽を聴いていると、どうしても自分の好きなジャンルに偏ってしまう気がするのですが、なぜいろんなジャンルに興味を示せるのでしょうか?

僕は、すぐに目新しいものについ目がいっちゃって、どんどん色んなジャンルに手を出して収集のつかない状況になっているんです。でも、基本的に常に新しい曲を求めてるので、広く浅くなってきている感じです。

「常にいろんなことを知りたい」ということですね!そんなooqueさんの最近のホットなジャンルはありますか?

昭和ポップスではないんですが、ブラジルのポップスが好きです。

意外なところにいきましたが、今ブラジルで流行ってる曲ってことですか!?

そうですね。ブラジルで流行っている曲が最近のマイブームです。滝川クリステルさんの『NIPPON EXPRESS SAÚDE! SAUDADE…』というラジオ番組があって、ブラジルやフランスのポップスを紹介してくれるラジオ番組なんですが、それがすごく参考になります。

そんなところから情報を得ているんですね。たしかにooqueさんはJ-POP・昭和ポップスのほかに、民族音楽も聴いていますよね。かなりワールドワイドに音楽に触れている印象があります。自分の住んでいる地域にとらわれず、どうやって多様な音楽をキャッチしているんでしょうか?

YouTube とか Spotifyのレコメンドで流れた曲を聞いたり、誰かが教えてくれるやつは、偏見を持たず片っ端から聴くようにしています。でも、僕が好きなP-MODELのボーカル、平沢進も実はロシア音楽に影響を受けていたりとか、意外なところで繋がって新しい発見があります!

自分の好きだと思った音楽が別の機会で全く違う音楽ジャンルに影響を受けていたって驚きですね!
そんな世界中の音楽を楽しむooqueさんだからこその視点でお話ししてほしいんですけど、色んな音楽ジャンルがあるなかで昭和ポップスの魅力って、なんだと思いますか?

表現力が豊かだなと思いますね。メロディーに関しても、幅広さを感じます。昭和ポップスといっても年代ごとに特徴もあるし、そのなかでさらに色んなメロディーがあるので幅が広いなと思いますね。
実は僕は飽き性なこともあって、たびたび昭和ポップス倶楽部をやめようかな〜、と思うこともあったんです。でもそのタイミングで何故かメンバーの仲間がお勧めの楽曲を教えてくれて、思いとどまるという(笑)本当に曲にいろんな特徴や世界観が出てるなって思うんですよね。

そうだったんですね!思いとどまって、こうしてインタビューにも出ていただき、ありがとうございます……!

昭和ポップス倶楽部と音楽をディグる日々

度々やめようかなと思ったこともあった中で、今日まで1年間参加してきてくれましたが、活動の中で思い出に残ってることはありますか?

僕はアウトプットする知識を持っていないので、聞いてるばかりで申し訳ないと思いつつ、交流会でのプレゼンがとっても勉強になります。一つ一つが僕のかけがえのない思い出ですし、メンバーからレコードをもらって聴いた、渡辺真知子さんの『迷い道』と出会ったときも衝撃でした。とにかく好きな曲を求めてディグるのが好きなので、その過程で好きな一曲に出会えた時は最高に嬉しいです。

活動の内容そのものというより、活動の中での発見とか、好きな一曲と出会えるまでの過程だったりとか、そういう経験が印象に残ってるということですね。
ooqueさんが昭和ポップス倶楽部の中で出会った曲たちが、そのままコミュニティの思い出になっているような感じで嬉しいです!

まさに僕は毎月その月にハマった曲でプレイリストを作っているんですけど、参加した当初は特にすごいんですよね。

「毎週ベストソング選抜」でも毎回さまざまなジャンルの曲が集まっていますが、そこで上がった曲も参考になったりしますか?

はい、聴いています!あれは大変よい企画ですよね(笑)

毎週ベストソング選抜は、ooqueさんの提案で始まった企画ですからね!これを提案してくれた意図は何だったんでしょうか?

海外の掲示板でシティポップを「これどうよ!」と勧めあっているのを見て、昭和ポップス倶楽部でもやってみたら面白いんじゃないかと思って紹介しました。

この企画は素晴らしいですよね。昭和ポップス倶楽部でも定番の企画になりましたから。

自分自身も何をあげようかなと考えるのも楽しいし、メンバーがどんなところから連想してくるかも気になるので、楽しいです。

いろんな曲に出会ってきたかと思うんですけども、ooqueさんの中の昭和ポップス・マイベストソングはありますか?

やっぱりアパッチの『宇宙人ワナワナ』が大好きなんですよね(笑)

どんなところが好きですか?

テンポの良さとかノリの良さとか、聴いているだけで元気になれて、楽しい気分になれるところが好きです。恋愛とか現実的なところもいいんですけど、それを忘れさせてくれるんです。

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ooqueさんは冒頭でもハマったアーティストにヒカシューやP -MODELなどをあげてくれましたが、独特な世界観が共通している気がしますね!

今後やってみたいこと

今後、昭和ポップス倶楽部でやってみたいこととか、こういうのがあったらいいなと思っていることはありますか?

まずは僕が旗揚げした「昭和ポップス年表」(※3)を完成させたいです!今は動かせていないんですけど、必ずや形にしたいです。

※3 昭和ポップス年表……昭和ポップス倶楽部内の、「ヒット曲年表」と「隠れた名曲年表」を作る企画。ooqueさんが発起人となってくれた。

膨大な曲数とデータ集まったと思うので、そのパズルのピースをどうやって一つにまとめるかっていうところもメンバーの意見を取り込みながら、形にしていきましょう!

あとは個人的に、さまざまなシーンに合うプレイリストを作りたいですね。
例えば「月曜日っぽいプレイリスト」だったりとか……メンバーにも聞きながら作ってみたいです。
Spotify とか YouTube とかでもおすすめの曲とかを紹介してくれますけど、テーマに合わせて粋な提案をしてくれるわけではないじゃないですか。
それよりは、ある楽曲に倶楽部のメンバーによるひとことのおすすめメッセージがあるだけで、その曲に入り込めるきっかけになるじゃないですか。そんなふうに、お互いがハマれる曲をシェアし合っていけたら良いなって思っています。

ooqueさんは交流会でもボーカルと楽器のパートを分別できるIT技術を活用したプレゼンをされたり、海外の掲示板を見つけたりと、若者のなかでもとりわけ高いITリテラシーをお持ちですよね。

そんなところで褒めていただけるとは思ってもいなかったのでびっくりです!
実は別の掲示板でも「おすすめの曲ないですか?」と聞いてそこで知ったのを昭和ポップス倶楽部に輸入していたりしています(笑)

面白い(笑)
こういうのがあったらいいなとか、こういうのないのかなと思ったら、なんでも調べてみる。まさに現代っ子な楽しみ方で研究されていることが、今回のお話でよくわかりましたね。
ooqueさんは誰よりも勉強家なんじゃないでしょうか……!

今後、深堀りしていきたい音楽はありますか?

とにかく、自分の知らないジャンルがあれば、それを知りたいです!
時代や国や人気・不人気の垣根なく、ノーボーダーなスタンスを貫いていきたいです。

すでにノーボーダーなスタンスは確立されつつある気がしますが、またあらためて5年後くらいにお話を聞いてみたらいったいどんな音楽を探求しているか、気になります。
昭和ポップス倶楽部も、ぜひ細く長く活用してもらえたら嬉しいです!

最後に平成生まれ昭和育ちへメッセージ

最後に同じ平成生まれで昭和のカルチャーが好きな人たちを私たちは「平成生まれ昭和育ち」と呼ばせていただいてます。今日のお話も踏まえて、平成生まれ昭和育ちに向けて、何かメッセージはありますか?

正直、いろいろ教えてくださいと言いたいです(笑)あとは、昭和の曲は最近になって取り上げられる機会は多いですよね。僕は昭和ポップスがベースとなって今のJ-POPがあると思うので、ぜひ色んな音楽に触れて今を生きているみなさんの知見をぜひ教えてください!

最後まで、ディグるのが大好きなooqueさんらしいメッセージでした。
ooqueさん、この度はありがとうございました!!

ありがとうございました!

平成生まれ昭和育ちへのインタビュー ooqueさん篇

インタビュー終了後、「ちなみに少し補足しますが、今はやめることはまっっったく考えていません!今後ともどうぞ末永くよろしくおねがいします」とご丁寧にメッセージをくださったooqueさん。運営一同、飽きられぬように精進します!

ooqueさんはいつもメンバーに「教えて下さい!」と謙遜する一方で、「誰も知らないお宝曲をディグるぞ!」という粘り強い探究心も持ち合わせており、かと思えば、国境も時代の壁も全く気にしないフットワークの軽さも兼ね備えている、なにやらすごいバランスのもとに存在している方。すでに地球の裏側のポップスまで攻めていることから、まさに「NO BORDERなディグラー」なooqueさん、一体、数年後にはどこの音楽をディグっているんでしょうか?どんなお宝楽曲を掘り当ててくれるのか、これからが一層楽しみですね。

昭和ポップス倶楽部でも昭和の音楽をはじめ、ボーダレスに心にビビッときた音楽をシェアしあっていけたらいいですね。プレイリストづくりもぜひ実現しましょう!
ooqueさん、ありがとうございました!

昭和ポップス倶楽部では、ともに楽しむ仲間を募集しています

本記事のように、昭和ポップス倶楽部では定期的に「平成生まれ昭和育ち」へのインタビューを企画しています。倶楽部メンバーやその内外の方に、どのようにして昭和ポップスを好きになったのか?を訊いていく予定ですので、今後もお楽しみに。

昭和ポップス倶楽部では、イベントやプレゼン交流会、それから普段はチャットルームでの交流、週2回のコラムなど、昭和の音楽を愛する若者たちが楽しめるコンテンツを常に考えています!

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文章協力:かなえ氏

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