筒美京平 ( つつみきょうへい )
筒美京平の基本情報
- 生年月日: 1940年5月28日
- 命日: 2020年10月7日 (享年 80歳)
- 出生地: 東京都新宿区牛込神楽坂
- 出身地: 東京都港区虎ノ門
- 出身校: 青山学院大学
- 本名: 渡辺 栄吉
- 弟は音楽プロデューサーの渡辺忠孝。C-C-B、KAN、スピッツ、コブクロなどを手掛けた名プロデューサー
レコード・CD売上枚数
シングル売上ランキング
<作曲作品>
発売年 | 曲名(歌手) | 売上 (万枚) |
|
---|---|---|---|
1 | 1979 | 魅せられて/ジュディ・オング | 123.5 |
2 | 1980 | スニーカーぶる〜す/近藤真彦 | 104.7 |
3 | 1968 | ブルー・ライト・ヨコハマ/いしだあゆみ | 100.3 |
4 | 1971 | また逢う日まで/尾崎紀世彦 | 95.6 |
5 | 1975 | ロマンス/岩崎宏美 | 88.7 |
6 | 1975 | 木綿のハンカチーフ/太田裕美 | 86.7 |
7 | 1981 | ギンギラギンにさりげなく/近藤真彦 | 81.6 |
8 | 1994 | 人魚/NOKKO | 65.4 |
9 | 1999 | やめないで,PURE/KinKi Kids | 64.8 |
10 | 1981 | ブルージーンズメモリー/近藤真彦 | 59.8 |
※累計売上のランキングです。出典:株式会社オリコン(1997)『1968-1997 ORICON CHART BOOK』
筒美京平の代表作品
筒美京平さんが手掛けた代表曲
※補足がない場合は作曲・編曲どちらも担当。70年代はどちらも手掛けているものが多いが、80年以降は編曲は違う人であることが多い
※平成生まれにもわかるかも、な超有名曲は太字にしています(個人的な判断です)
- 渚のうわさ
ヴィレッジ・シンガーズ
- バラ色の雲編曲:森岡賢一郎
いしだあゆみ
- 太陽は泣いている
- ブルー・ライト・ヨコハマ
- あなたならどうする
オックス
- スワンの涙
井上順之
- お世話になりました
朝丘雪路
- 雨がやんだら1971年のレコード大賞作曲賞を受賞
平山三紀
- 真夏の出来事1971年のレコード大賞作曲賞を受賞
- また逢う日まで1971年のレコード大賞受賞曲
堺正章
- さらば恋人
- 17才リン・アンダーソンの「ローズ・ガーデン」を参考にしている
- 純潔
- 早春の港
- 傷つく世代
- 色づく街
(その他多数)
チェリッシュ
- ひまわりの小径
- 芽ばえ編曲:高田弘
- 悲しみよこんにちは編曲:高田弘
- わたしの彼は左きき
- アルプスの少女
(その他多数)
- 青いリンゴ編曲:高田弘。野口五郎の初ヒット曲となった
- オレンジの雨編曲:高田弘
- 甘い生活1974年のレコード大賞作曲賞を受賞
- 私鉄沿線作曲:佐藤寛
- きらめき
- 針葉樹
- むさし野詩人作曲:佐藤寛
- 風の駅
- グッド・ラック編曲:高田弘
- 真夏の夜の夢
- 女になって出直せよ編曲:船山基紀
- 19:00の街編曲:川村栄二
(その他多数)
- 男の子女の子
郷ひろみのデビュー曲 - 愛への出発(スタート)
- 裸のヴィーナス
- 花とみつばち
- よろしく哀愁
- 誘われてフラメンコ
- 恋の弱味イントロが天才的かつ挑戦的
- あなたがいたから僕がいた
- 寒い夜明け
- 真夜中のヒーロー
- 洪水の前編曲:船山基紀
- ナイヨ・ナイヨ・ナイト
(その他多数)
浅田美代子
- 赤い風船
リンリン・ランラン
- 恋のインディアン人形
ALFIE
- 夏しぐれアルフィーのデビュー曲
- ひとり歩き
- リップスティック
豊川誕
- 汚れなき悪戯豊川誕のデビュー曲
- 二重唱(デュエット)編曲:萩田光雄。岩崎宏美のデビュー曲
- ロマンス
- センチメンタル
- ファンタジー
- 未来
- ドリーム
- 霧のめぐり逢い
- 想い出の樹の下で
- シンデレラ・ハネムーン
- さよならの挽歌
- 女優
(その他多数)
デビューからシングル10作目までは作詞は松本隆が、作編曲は筒美京平、萩田光雄のみで制作されている。
- 雨だれ編曲:萩田光雄。デビュー曲。シンガーソングライター風のものを作る意図で、ピアノの弾き語りのアレンジになった
- 木綿のハンカチーフ編曲は萩田光雄と共同
- 赤いハイヒール編曲:萩田光雄
- 最後の一葉編曲:萩田光雄
- しあわせ未満編曲:萩田光雄
- 九月の雨
- ドール
(その他多数)
浅野ゆう子
- セクシー・バス・ストップもとはDr.ドラゴン&オリエンタル・エクスプレスの曲。「Jack Diamond」の名前で作編曲しているが、浅野ゆう子バージョンは編曲が高田弘
大橋純子
- たそがれマイ・ラブ
中原理恵
- 東京ららばい1978年のレコード大賞作曲賞を受賞
- 飛んでイスタンブール編曲:船山基紀。1978年のレコード大賞作曲賞を受賞
- モンテカルロで乾杯
中村雅俊
- 時代遅れの恋人たち編曲:大村雅朗
- 日曜日はストレンジャー
- プリティー・プリティー編曲:船山基紀
- 魅せられて1979年レコード大賞受賞曲
梓みちよ
- よろしかったら
桑名正博
- 哀愁トゥナイト桑名正博のデビュー曲。編曲:萩田光雄
- セクシャル・バイオレットNo.1編曲:桑名正博&ティアードロップス・戸塚修
- 来夢来人編曲:萩田光雄
- ROBOT編曲:船山基紀
- スニーカーぶるーす編曲:馬飼野康二
- ヨコハマ・チーク編曲:馬飼野康二
- ブルージーンズメモリー編曲:馬飼野康二
- ギンギラギンにさりげなく編曲:馬飼野康二
- 情熱☆熱風☽せれなーで編曲:大谷和夫
- ふられてBANZAI編曲:後藤次利
- ホレたぜ!乾杯編曲:後藤次利
- ミッドナイト・ステーション編曲:佐久間正英
- ためいきロ・カ・ビ・リー編曲:松下誠
- ロイヤル・ストレート・フラッシュ編曲:松下誠
- 一番野郎編曲:松下誠
(その他多数)
沖田浩之
- E気持編曲:船山基紀
- センチメンタル・ジャーニー編曲:鷺巣詩郎。松本伊代のデビュー曲
- ラブ・ミー・テンダー編曲:鷺巣詩郎
- TVの国からキラキラ編曲:鷺巣詩郎
- ビリーヴ編曲:萩田光雄
- 君に薔薇薔薇…という感じ編曲:船山基紀
- 原宿キッス編曲:船山基紀
- ラブ・シュプール編曲:大谷和夫
- シャワーな気分編曲:大村雅朗
- 夏ざかりほの字組編曲:新川博
- どうする?編曲:船山基紀
- 抱きしめてTONIGHT編曲:船山基紀
稲垣潤一
- ドラマティック・レイン編曲:船山基紀
- 夏のクラクション編曲:井上鑑
- 夏色のナンシー編曲:茂木由多加
- 渚のライオン編曲:茂木由多加
- ラッキィ・リップス編曲:大村雅朗
- 誘惑光線・クラッ!編曲:大村雅朗
- エスカレーション編曲:大村雅朗
- UNバランス編曲:大村雅朗
- 唇のプライバシー編曲:鷺巣詩郎
- 北駅のソリチュード編曲:萩田光雄
- ジェラス・トレイン編曲:萩田光雄
- まっ赤な女の子編曲:佐久間正英
- 半分少女編曲:川村栄二
- 迷宮のアンドローラ編曲:船山基紀
- ヤマトナデシコ七変化編曲:若草恵
- なんてったってアイドル編曲:鷺巣詩郎
- 水のルージュ編曲:大村雅朗
- 魔女編曲:中村哲
- 夜明けのMEW編曲:武部聡志
- ト・レ・モ・ロ編曲:船山基紀
東京JAP
- 摩天楼ブルース編曲:船山基紀
C-C-B
- Romanticが止まらない編曲:船山基紀、C-C-B
- スクール・ガール編曲:船山基紀、C-C-B
- Lucky Chanceをもう一度編曲:船山基紀、C-C-B
- 空想Kiss編曲:大谷和夫、C-C-B
- 元気なブロークン・ハート編曲:大谷和夫、C-C-B
- ないものねだりのI Want You編曲:大谷和夫、C-C-B
斉藤由貴
- 卒業編曲:武部聡志。斉藤由貴のデビュー曲。卒業ソングの定番
- 初戀編曲:武部聡志
- 情熱編曲:武部聡志
本田美奈子
- 殺意のバカンス本田美奈子のデビュー曲。編曲: 中村哲
- Temptation(誘惑)編曲:大谷和夫
- 1986年のマリリン編曲:新川博
- Sosotte編曲:鷺巣詩郎
- Oneway Generation編曲:大谷和夫
(その他多数)
- あなたを・もっと・知りたくて編曲:武部聡志
中山美穂
- 「C」編曲:萩田光雄
- 生意気編曲:船山基紀
- BE-BOP-HIGHSCHOOL編曲:萩田光雄
- ツイてるねノッてるね編曲:大村雅朗、船山基紀
- WAKU WAKUさせて編曲:船山基紀
- 「派手!!!」編曲:船山基紀
荻野目洋子
- さよならの果実たち編曲:武部聡志
少年隊
- 仮面舞踏会編曲:船山基紀。少年隊のデビュー曲にして最大のヒットを記録
- デカメロン伝説編曲:新川博
- バラードのように眠れ編曲:馬飼野康二
- stripe blue編曲:馬飼野康二
- 君だけに編曲:馬飼野康二
- ABC編曲:船山基紀
- じれったいね編曲:新川博
平成ではこんな曲を手掛けています!
- カナディアン アコーデオン朝ドラ「かりん」の主題歌。編曲:佐藤準
NOKKO
- 人魚編曲:鄭東和、清水信之
小沢健二
- 強い気持ち・強い愛編曲:小沢健二・筒美京平
Kinki Kids
- やめないで,PURE編曲:WACKY KAKI
TOKIO
仲間由紀恵 with ダウンローズ
- 恋のダウンロード編曲:Maestro-T
中川翔子
- 綺麗ア・ラ・モード編曲:本間昭光
アニメソングも手掛けています!
サザエさん
- サザエさん(オープニング)お魚くわえたどら猫のやつ
- サザエさん一家(エンディング)サザエさんはゆかいだな〜〜のやつ
筒美京平ってどんな人?
日本の音楽業界の頂点にして原点のような、伝説のお方。曲の制作スピードが早すぎるため、「筒美京平」というゴーストライター集団なのではないか?とまで言われていたらしいが、まごうことなき一人の作曲家。
しかしながら、授賞式などでテレビに映ることはあっても、筒美氏が自らの意思でテレビ出演したことはほとんどない。日本一のヒットメーカーでありながらその素顔は謎のベールに包まれている。
作曲家になるまで
- 1963年、日本グラモフォン・レコード株式会社(後のポリドール)に入社。洋楽ディレクターとして4年間務めた。入社の面接の際、邦楽の担当には絶対なりたくなかったらしく「洋楽じゃないとイヤだ」と伝えていたという
- 青山学院の先輩である作詞家の橋本淳に「やったらどう?」と誘われたことがきっかけで、1966年に作曲家デビュー
- ヴィレッジ・シンガーズ「バラ色の雲」(1967年)が初のヒットとなる
- 最初は作曲用の名前をを「鼓 響平」にしようかと思っていたが、画数が多いのと、左右対称だと縁起がいいからということで「筒美京平」となった
筒美京平と音楽
- 自身の楽曲で気に入っているのは尾崎紀世彦「また逢う日まで」、堺正章「さらば恋人」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」※1
- 洋楽を日本仕様にするにあたって、大きな影響を受けたのは「バート・バカラック」だと自他ともに認めている
- 幼少からクラシック、大学時代はジャズを嗜んでおり、彼のルーツに歌謡曲はない。実際に以前「歌謡曲という名のつくものが大嫌いだったんですよね。軽蔑していたんじゃないかしら。ハッハッハ」と語っている※3
- 一番忙しかったときで、1ヶ月に45曲書いたという※1
- 「吉田拓郎の『結婚しようよ』が出てきた時、これは大変だと思った。やっぱり新しかった」と本人が話している※1
周囲の人が語る筒美京平像
- 学生時代の先輩の作詞家橋本淳は、高校時代の筒美の印象について「暗い、地味、人嫌い」。筒美氏は園芸部だったらしく、学校の花壇で花を手入れしている高校生だったらしい※3
- CBSソニーの伝説のプロデューサーとも言われている酒井政利は、筒美について「結構怖いところがあるんですよ。レントゲン技師みたい」と言っている※3
- 後年、プロデューサーの酒井政利は、「筒美京平で山口百恵という路線は考えなかったのか」という質問に対して「それは一度も考えなかったですね。山口百恵とは合わないと思うんですよ。彼女は暗く重くしてしまうところがあるから、筒美京平作品を否定して入ってしまうと思ったんです。(筒美氏が南沙織の楽曲も多く手掛けていることから)南沙織のアンチテーゼが山口百恵でもあり、山口百恵のアンチテーゼが松田聖子になっていくわけだから。だから本当は松田聖子と筒美京平は合うと思う」と答えている
- 筒美京平が最も多くタッグを組んだ編曲家である船山基紀によると「ところで筒美京平先生とはどんな人なのか。メディアにほとんど出ないので、一般の音楽ファンには謎の人と思われているが、まず京平先生にとって、楽曲は売れることが第一義。売れたら評価されるし、売れなければ駄目」とのこと。※4
筒美京平さん作品プレイリスト
自分用に作ったプレイリストです。随時更新します。
Apple music
受賞歴
●1971年
第13回日本レコード大賞「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)
●1979年
第21回日本レコード大賞「魅せられて」(ジュディ・オング)
関連サイト
- ウィキペディア : https://ja.wikipedia.org/wiki/筒美京平
参考資料
※1 「作家で聴く音楽」第二回 筒美京平より
※2 「昭和40年男7月号増刊」クレタパブリッシング(2019)
※3 「HIT SONG MAKERS 栄光のJ-POP伝説」(2006)
※4 「ヒット曲の料理人 編曲家 船山基紀の時代」リットーミュージック(2019)p.064